11月議会最終日、陳情の反対討論に立ちました。

17日に11月議会が閉会しました。

 

議案については、74件中3件について反対し、東議員が反対討論に立ちました。

陳情について、委員会で否決された3件の採択を求め私が討論に立ちました。

①戦争法廃止、②TPP「大筋合意」の撤回、③路面電車の駅前乗り入れ計画の慎重審議、を求める内容です。

市政ニュース速報版151217

30分の持ち時間のうち25分もかかり、長くなりました。しかし、言いたいことはたくさんあったし、団会議でも削るところはないよ!という事だったので、そのまましゃべりました。

路面電車の乗り入れ計画については、なぜ「計画中止陳情に賛成しないのか」と議会内でもよく聞かれますが、議論の根拠すら出されてないと思っています。今回、中止陳情を採択した自民党の動きにも「?」はたくさんです。本会議を通して一貫して推進のトーンだったのに、突如、中止の陳情を採択する話が持ち上がり、委員会は会派会議のため何時間もストップされました。地元関係者の疑問の声に応えることは当然ですが、どうやら当局が議会への事前調整なしにどんどん進めていることが気に入らない様子。ふ~ん。(2月議会に出てくる関連予算は、すんなり賛成するのではないかと思われます。)

↓↓↓ 長いですが、反対討論中身です。

日本共産党岡山市議団を代表して、陳情第26号、第37号、第40号の3件について委員会報告に反対の立場で討論します。

 

まず、陳情第26号「国民を戦争に導く安保法制を直ちに廃止し、日本国憲法に基づいて武力によらない平和外交を求める意見書の提出について」です。

 先日あるTV番組で、1990年のイラクのクウェート侵攻の際、現地駐在の日本人が「人間の盾」として人質に取られた時のエピソードが取り上げられていました。36人の妻とお子さんたちが丸腰で現地に乗り込み、一緒に帰るまで帰らないと交渉を続けて、人質解放を勝ち取ったという内容でした。印象的だったのは、人質に取られていた方の証言として、事態解決を目指した日本政府が自衛隊の派兵を可能としようとした動き(後のPKO法)が分かった時に、イラク兵の態度が急変したというくだりです。「お前たちは今や我々の敵だ」と言われ命の危険を感じたそうです。目的がどうであれ軍隊を向けようとする動き自体が敵対感情を助長することは間違いありません。

 その後の湾岸戦争、イラク戦争、アフガニスタン戦争、を通してテロは減るどころか、激増していきます。

 

フリージャーナリストの志葉玲さんは、今のISの幹部たちの多くが、イラク戦争の時に政府を追われた高官や軍人たちであり、アメリカ軍による現地刑務所で壮絶な虐待を受け過激思想に転化していったと指摘しています。志葉さんは、イラク戦争を現地で取材されており、アメリカ軍が行ったイラクのラマディやファルージャでのテロ掃討作戦、無差別攻撃について、先日、お話を伺いする機会がありました。テロ掃討作戦ではアメリカ兵が町中の民家を突然襲い、銃を突きつけて一般市民を毎日のように連行しました。砂漠の中に無数につくられた捕虜収容施設で、何日も集団で監禁し、電気ショックなどさまざまな手段の拷問で「お前はテロリストか」でなければ「テロリストの知り合いがいるのか」と責め立てられる。志葉さん自身がスパイと疑われてアメリカ軍により拘束され、命の危険を感じながら見聞きしたからこそのリアルな情報です。

これは軍人に対して行われたことではなく、一般市民に対して米軍が行った蛮行であり、捕虜への虐待を禁じたジュネーブ条約に明確に違反しています。さらに、激しい無差別爆撃により多くの市民の命が奪われました。病院や救急車が爆撃され、女性や子どもまで狙撃されました。負傷者や捕虜などが多く殺されたことが明らかになっています。後に国連の人権委員会が、ファルージャ攻撃による被害者は、9割が民間人であることを発表しました。

このイラク戦争そのものが国連決議もない先制攻撃の戦争で、大義名分とされた「大量破壊兵器」はついに発見されることはありませんでした。後にアメリカ、イギリス、オランダは間違った戦争であったことを認めています。国連の決議違反であり、明らかなる戦争犯罪です。しかし、自らを「自由と民主主義を愛する」と称する大国の犯罪は決して裁かれることはなく、中東の人々の深い絶望と憤り、多くの憎しみを生んでいます。一連の介入戦争が、今の泥沼のテロ戦争に結びついていると志葉氏は指摘します。対テロ戦争は、誰がテロリストか分からないからこそ、多くの市民が殺戮されている現実があるのです。

アメリカが支援するイスラエルによる昨年のパレスチナガザ侵攻でも、避難所になっていた学校がいくつも爆撃され、救急車が爆撃され、子ども達の体がいたるところで飛び散っている写真が紹介されました。

今安倍政権の下で武器輸出三原則が撤廃された中、日本製の部品を積んだ戦闘機が、日本製の砲弾が、地球の裏側で子ども達の命を吹き飛ばすことに使われます。

 

卑劣なテロ行為は決して許されるものではありません。しかし、武力ではテロを根絶することはできないということ、新たな憎しみの連鎖を生むことは、これまでの歴史が証明している事です。私たち日本共産党は、テロ根絶への道として、①テロ組織の資金源や移動、武器ルートを断つ、②根底にある貧困と格差の解消に全力で努力する、③イラクやシリアの内戦地帯で平和と安定をはかる外交的努力を行う、④難民の人権を守る国際的支援を強める、ことに全世界が取り組むことを提唱しています。

 

ここで、私たちが直視しなければならないのは、この度の安保法制によって、何が可能になったのか、という事です。

まず第1に、集団的自衛権の発動が認められました。集団的自衛権とは、自国が攻撃をされていなくても、武力行使に参加することです。政府は限定的だと説明しますが、安倍首相が日本国民の命を守るための法制だと繰り返し強調した日本人母子を救出するアメリカ軍艦の護衛については、日本人が乗船していなくても米国艦を守ることはあり得ることが国会で明らかになりました。これが集団的自衛権です。どこに我が国の存立危機があるのでしょうか。

我が国と密接にかかわる他国への武力攻撃が我が国の存立危機にまで及ぶかどうかは自主的には判断が難しいと内閣法務局長官が答弁しています。つまり結局は相手国からの情報と出動要請に左右されるのです。しかも、中谷防衛大臣は、自衛隊が防護する対象は、原子力空母、ステルス戦闘機にまでおよび、自衛隊が使用する武器には制限がない事、しかも砲撃・応戦などの判断は現場の指揮官になるであろうことを認めました。どこが限定的なのでしょうか。

歴代内閣は、戦後70年近く一貫して憲法9条の下で、集団的自衛権の行使が認められる余地はないと説明を繰り返してきました。180度その解釈を変えるということは、アメリカから要請があった時に断る理由を自ら投げ捨てたことになります。例外なき国会承認が義務づけられたのは、安保関連法11本中1本のみです。これでは武力行使の判断を時の政府に白紙委任することに他なりません。国会の答弁では、国連の決議が無くても派兵する可能性についてさえも否定されませんでした。ましてや我が国は、過去一度もアメリカが行う戦争に反対をしたことなどありません。大国によって繰り返される戦争犯罪に日本が加担する日を決して迎えてはなりません。

第2に、際限ない兵站活動が位置付けられたことです。今まさに行われているシリアの爆撃に対して、要請があれば自衛隊を派遣し軍事支援を行うことは、法制上はできる。このような国会答弁がありました。

イラク戦争の時に、最も多くのアメリカ兵の犠牲者を出したのは、IEDという即席爆発装置による犠牲者だそうです。これは、道路のわきに仕掛けられる爆弾で、車が通れば爆発します。つまり輸送が一番狙われるという事です。軍事作戦上、一番危険な物資や弾薬を輸送する兵站活動をなぜ自衛隊が担わされるのでしょうか。

イラク戦争で、イラクの民間人の死亡者数が急激に増加した時期は、航空自衛隊が沖縄の海兵隊の輸送を開始した時期と重なります。当時、政府要人や国連関係者を輸送することは認められていた法制度の下で、実は7割近くは米軍を輸送していたという衝撃的な事実が明らかになっています。2004年のファルージャ虐殺の最前線に立ったのは沖縄から出撃した海兵隊です。相手から見れば、輸送を行うという事自体が敵対行為であり、武力攻撃と一体なのだということは紛れもない事実です。

この安保法制で、地球上のどこででもこの輸送活動ができるようになりました。イラクの例から見てもまさに、兵站活動の場所が戦闘地域になるわけです。イラク特措法で派兵された自衛隊では「危ないと思ったら撃て」と指導されていたという証言が国会で紹介されています。緊迫した状況下では、先に撃たなければ、自分が殺される。これこそがまさに戦闘であり、戦争と言わずになんというのでしょうか。

 

だからこそ、私たちはこの法案を「戦争法」だと呼んでいるのです。

だからこそ、戦争と武力による威嚇、武力行使を明確に禁じた憲法9条に違反すると、大多数の憲法学者が声を上げ、歴代内閣法制局長官、最高裁元長官、数々の著名人、知識人、大学関係者、学生やママ達が声をあげています。

 

私たちは議会人としても今一度、立ち止まらなければなりません。

法治国家の最高法規である憲法には、改変する手続きも権利も保証してあります。憲法99条によって、憲法順守義務が課せられている内閣、国会議員自らが、それらを一切飛び越えて、憲法と大きく矛盾する法律を成立させてしまうこと、それは、まさに立憲主義の崩壊を意味しており、多くの国民が危機感を募らせているのです。法治国家でその国の政府が、憲法という根底のルールを捻じ曲げ始めれば、それは独裁政治の始まりです。

多数決だから民主主義だというのは詭弁で、今の国会の構造は、ゆがんだ小選挙区制の弊害により4割の得票率で7割の議席を占める結果になっています。決して民意を正確に反映していると言えない国会で数の力で押し切ってしまうことは許されません。民主主義とは何だ、多くの若者たちが今も声を上げ続けています。

立憲主義、平和主義、民主主義を取り戻す、この一点においてもこの安保法制は一日たりとも放置しておくことはできません。

市民住民に近い地方議会からこそ、国政に意見を上げることが、地方自治の基本であり、私たちの義務でもあります。多くの民意を反映したこの不安をしっかり国に届ける上で、本陳情は採択するべきです。

次に、陳情第37号「TPP「大筋合意」の撤回を求める意見書の提出について」です。

まず、重要5品目のコメの輸入枠について、これまでも日本はミニマム・アクセス米として、WTOから77万トンを輸入してきました。TPP合意では、さらに特別枠を新設して関税無しで最大7万8400トンを追加させられたのと同時に、WTOからのミニマム・アクセス米のうち、中粒種枠を6万トン増やしています。これは実質アメリカ向けと言われており、つまり、アメリカから見ればミニマム・アクセス米36万トンに6万トンの枠が増え、新規の7万トンを合わせると毎年50万トンもアメリカから輸入するという事になります。アメリカにとっては完全自由化より得をしたとも指摘されています。

 政府は輸入拡大分を備蓄するから大丈夫だと説明しますが、在庫が増えれば米価が下がる事は必至です。東京大学の鈴木宣弘教授によればコメだけで1100億円の生産減少が生じると試算しています。

 さらに深刻なのは畜産です。関税が4分の1まで下げられることになっており、2000億~3000億の生産減少が生じると指摘されています。マスコミでは、関税が下がれば肉食品が安くなるとはやし立てますが、関税分は流通・外食部門に吸収され消費者価格はそれほど下がらないと言われています。また政府は和牛の輸出が40倍になるとはしゃいでいますが、しかし、現在200トンの和牛輸出枠が6000トンに増えてもアメリカ産牛肉を数十万トン輸入することになります。食の安全面でも大きなリスクを負うことになります。

 そして今回突然浮上したのが、これも重要5品目である小麦の特別輸入枠です。最終的に25万トンのTPP枠を設けました。小麦の国内生産量は80万トン、自給率12%です。北海道以外の小麦生産量27万トンが壊滅する量です。事実上の関税も45%削減されました。

このように、国会で聖域とした重要5品目においても、大幅な譲歩と品目の3割に及ぶ関税撤廃を認める内容です。とうてい聖域とは呼べず、国会決議違反は明らかです。

 鈴木研究室や業界団体の暫定計算では、TPPによる農産物の生産減少額は1兆円を優に超えるという事です。どこが、「影響は限定的」なのでしょうか。

我が国の林業においては、1950年代に丸太の関税が撤廃されました。その後木材の完全自由化で外国産の木材に押され、この50年の間に林業がどれほど衰退してしまったことでしょうか。今まさに同じ轍を踏もうとしています。

 

政府は「攻めの農業」を連呼し、安倍首相は「日本茶が世界の茶所になるかもしれない」と持ち上げました。しかし、日本茶の大口輸出先である、アメリカ、シンガポール、カナダは、すでに日本茶に対する関税はゼロであり輸出においては何の影響もありません。日本茶に高い関税をかけているのはメキシコ、ベトナムです。逆にベトナムでは日本の大手メーカーが現地法人を立ち上げて緑茶を生産しているため、TPPによって日本茶は、輸出は増えなくても逆輸入が増える可能性の方がかなり現実的です。

政府の出す情報を鵜呑みにするのではなく、何が真実なのか様々な情報を集めて、自分たちで判断するということが自治体の大きな役割ではないでしょうか。

「攻めの農業」で農林水産物の輸出目標1兆円の内、農産物はわずか1%です。わずか1%の輸入拡大がどうして日本農業の活路となりえるのでしょうか。まして、中山間地域が多く小規模農家の多い岡山市において、その影響すら調査しようとせず、攻めの農業をどう具体化できるのかも、まるで見えません。

そもそも、日本の税収40兆円のうち関税分は4兆円です。ほとんどが農産物の関税で、農業の赤字補てんの財源に充てられていました。TPPによる関税撤廃または削減により3兆円の財源が吹っ飛びます。これで十分な農業対策が打てるのか、大きな疑問です。私たちは関税収入の重要性ももっと認識しなければなりません。

 

 みなさん、我が国の食料自給率はわずか39%です。これを引き上げることこそ、持続可能な社会への第1歩であり、TPP参加により二度と引き返せない亡国行きのバスに乗るべきではありません。かつて「TPPバスの終着駅は、日本文明の墓場だ」と述べたのは、自民党TPP総合対策実行本部長、稲田朋美政調会長です。

 

  TPPはまだ大筋合意の段階であり、最終合意ではありません。保留部分も多く残されており、各国の国内でも反対の声が強く簡単に批准できる状況ではありません。そのような中でわが国だけが前のめりで、成果ばかりを評価していることは本当に恥ずかしいことです。国会での議論はこれからです。まさに今こそ、多くの疑念があるということを地方議会から声を上げるべき時であり、なぜその機会を放棄するのでしょうか。陳情の採択を改めて求めたいと思います。

最後に、陳情第40号 「路面電車の駅前広場への乗り入れ拡張について」です

少子高齢化社会の中で、公共交通の充実は待ったなしの課題です。路線バスの廃線が相次ぎ、自家用車に乗れなくなった高齢者にとって生活交通に不便する状況は市街地でも深刻です。誰もが安心して住み続けられる岡山市を目指して、公共交通をどのように充実させるのか、今の岡山市の戦略は、多くの市民にとって不明確です。市民意識調査で岡山市に「住みたくない理由」のトップが「交通の便が良くない」である所以です。

以前に紹介した熊本市では、自宅から1キロ以内に公共交通アクセスがない場合は「交通空白地域」、500メートル以内にない場合は「交通不便地域」と定め、市内5社あったバス会社を統合整理して、市内全域の公共交通の充実を図る計画を立てています。路面電車の活用も、その中に位置づけられており、重要な公共交通の一翼を担っていることがよく分かります。

一方で本市の交通戦略は、市民の移動権を守る立場においての全市的な交通体系が整理されていない中、地域個別の課題として単発の施策となっています。そのような中で路面電車の駅前乗り入れが、イオンの進出を機に回遊性の向上として最優先課題に位置づけられました。

本来であれば、公共交通における路面電車の役割を分析する過程において、延伸化や環状化の議論の一部として位置づけられるであろう、駅前乗り入れだけが、突如市政の最優先課題となったのです。イオン進出と路面電車乗り入れの相関メリットも示されないまま、市民の0.3%しか利用していない路面電車の駅前乗り入れに多額の費用をかけることについて、多くの市民が疑問を抱いているのです。

そもそも公共交通の重要性ではなく、回遊性の向上や中心市街地活性化を重点に置いていたからこそ、ペデストリアンデッキの案がたくさん出てくるわけで、最初から目的がぶれていたのではありませんか。回遊性や中心市街地活性化が目的ならば、駅前商店街のにぎわいやバス会社の利便性抜きに話が進まないのは当然です。

「調査検討会」において、その目的があいまいなまま、8カ月近く放置状態だったこの11月に、平面乗り入れ案に決定したことを突然提示されました。これまで何を検討してきたのか。座長によって、平面乗り入れの技術的課題だけを検討する会ですと説明されて、どうして納得できるのでしょうか。技術的課題の検討ならば専門家だけで構成すればよいわけであり、平面乗り入れありきの会だったのだと、不信感だけが残っています。

その証拠にこの議会に対し、調査検討会のメンバーから数多くの陳情が出されているではありませんか。議論が尽くされていない何よりもの証拠であり、これは異常な事態です。

私たちは、今一度路面電車の駅前乗り入れについて、その意義と、目的と位置づけを明確にすることを強く求めます。まずもって調査検討会のメンバーですら納得していない案をこのまま強行することは、決して広く市民の理解を得ることなどできない事は明らかです。

足りていないのは「市民への説明」だけではなく、市全体の公共交通戦略とその中での路面電車の位置づけです。現段階で、路面電車の駅前乗り入れ計画について、中止するべきか、推進するべきかの判断材料すらありません。

本陳情は、路面電車の平面乗り入れについて市民の様々な切迫した課題の視点から優先課題ではない旨を述べたうえで慎重審議を求めるものです。市民感情としては至極当たり前であり、私たちが市内各所で耳にしてきた声を代表しています。論点はずれていません。よって採択されることを求めます。

 

以上、議員各位の賛同をお願い申し上げまして私の討論といたします。

Facebooktwittergoogle_plusredditpinterestlinkedinmailby feather

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です