(印刷用PDF)田中171212
(最初の質問 全文)
1. 移住にともなう障害年金打ち切りケースについて
障害年金を受給されている方が岡山市に移住された際に、住んでいた自宅を売却し、岡山市で中古住宅を購入しました。約1200万の売却収入で約1000万円の中古物件を購入し、今もリフォーム継続中です。その年の確定申告では、「特別控除」を利用し、所得税はこれまで同様非課税となりました。ところが、今年度に入ると、国保料が4倍に跳ね上がり、心身障害者医療助成制度から除外されました。さらに、月10万円の障害年金が打ち切られ、月4万円の児童扶養手当も打ち切られました。たちまち、生活に困窮する状態に追い込まれ、生活保護を考えなければならないかもしれません。しかし、生活保護を受給するには、何とかやりくりしてきた学資保険や、貯金や車の処分を検討しなければならず、1年後に年金が復活しても、元の生活状態に戻ることが非常に難しくなります。
何が起こったのかと言うと、税制上は課税所得ゼロとなっても、各福祉施策の収入基準でどこの段階の所得を見るのかがバラバラであり、結果的に住宅売却分を収入とされたのです。例えば、国保や介護保険は合計所得を所得判定に使用し、障害基礎年金や児童扶養手当vは、そこから控除する費目がそれぞれで限定されています。心身障害者医療助成制度は「老齢福祉年金」基準を適応する、という具合です。特に「老齢福祉年金」は、年金制度がスタートした昭和36年時点で50才を超える方が対象の無年金者救済の年金で、控除もあまり考慮しておらず制限金額も厳しいものです。現在市内に受給者はいません。
せめて確定申告の際に、住宅買い替えで申告すれば、30年前に家を買ったときの経費も一部差し引くことが出来るようなので、臨時収入もかぎりなくゼロになっていたでしょう。しかし、税務署は修正申告を一切受け付けてくれません。税務署職員によると、このようなケースはよくあるそうです。しかし一方で申告の相談相手となる税理士の方にとっても、福祉施策のしくみまでは到底わからないとのことでした。
一生に一度あるかないかの住宅買い替えで、一般の市民にこのように大きな不利益が起こることはあってはなりません。当事者の方も実際に、移住を考えたことをとても後悔されおり残念でなりません。
(1) 移住定住を推進する岡山市として、同様の相談を把握していませんか。
(2) このようなケースがありうることについて、どのように啓発できますか。
(3) 税務署に対し申告の修正に応じるよう働きかけるなど、市として何か救済措置がそれないでしょうか。
(4) そもそも各福祉施策の収入基準とする所得を保育料のように課税対象所得に統一するべきです。家族構成や障害の有無によっても実際の収入と課税所得は大きく違ってきます。現に住宅を買換えただけで、実質の所得が無い今回のようなケースで生活保護世帯となってしまうのであれば、税金の使い方としても本末転倒なのではないでしょうか。国に働きかけを行って頂きたいがどうでしょうか。
2. 保育施策について
~障害児保育のあり方を中心に~
来年度入園の申し込み締め切り直前の先月、発達障害の保育園児を持つお母さんから立て続けに悲鳴のような相談がありました。
公立保育園に通うAさんのケースは、
2歳クラスから来年3歳クラスに上がる際に、同じ保育園の障害児拠点枠に入りたいが、新規入園の扱いになるため母親の点数が低いので難しいと言われた。このまま一般枠に在園することもできないと言われ、転園するしかないが、見学に行った私立認可保育園ではその時点で断られた。というケースです。
私立の認可保育園に通うBさんのケースは、
来年3歳クラスになるが、自閉症でこれ以上この園では見る事が出来ない、障害児拠点園に移ってほしい、と言われた。公立の拠点園を3園書いて申し込んだが、パートタイムの仕事で点数が低いため、厳しい点数競争に残れるかはまさに賭けです。一度転園希望を出してしまえば、現在の保育園に戻ることは絶望的です。
発達障害を持つお子さんは増えています。赤ちゃんのころに保育園に入っても、障害があると分かったとき、退園するしかない人がいるというのが今の岡山市の現状だということです。まさに障害を理由にした差別とも言えるのではないでしょうか。
原因はいくつかあります。
岡山市には、障害児拠点園が公立9園、私立2園ありますが、定員(2号児)はそれぞれ10人です。3才になる時点で拠点枠に移ろうすると新規入園扱いになるため、両親の点数による競争です。今回から継続児加点の5点がなくなったために在園児かどうかは関係なくなりました。さらに、10人を超えた障害児は、一般枠で受け入れられないとのことです。Aさんの場合は、このために、転園をしなければならない状況に置かれました。一方で、一般枠に居続けるために障害認定をあえて受けないケースも散在すると聞きます。
拠点園における障害児受け入れのあり方を見直すべきです。
もっと深刻なのは、私立の認可保育園です。障害の程度に関わらず、見学の段階で断られるという話はよくあると、ある園長先生から伺いました。しかしそこには、やむにやまれない事情があります。私立保育園は、障害児に対する加配保育士をつけることが財政的に非常に難しい状況にあるからです。
公立保育園では、原則障害児2人に1人の保育士を配置しています。しかし、私立保育園には、岡山市の補助金が障害児1人~3人の場合1人に3.7万円付くのみです。保育士を1人加配するのに、パート保育士でも障害児5~6人必要になる計算です。
ところが、国は、私立・公立保育園に関わらず、障害児2人に1人の保育士の配置を地方交付税で措置していると説明しています。障害児保育の職員体制を抜本的に見直す必要があります。
(1) Aさん、Bさんのケースについてどうあるべきと考えていますか。
(2) 在園児が拠点枠を希望する場合、どういう配慮ができますか。退園しなければならない状況は回避するべきです。拠点園の一般枠でも受け入れられる体制を整えるべきではないですか。
(3) とはいえ、専用室は必要で障害児拠点園を根本的に増やすべきです。新築の公立こども園全てに障害児保育室をつくりませんか。
(4) 障害児2人に1人の保育士が地方交付税措置されているのなら、具体化するべきはないですか。同じ認可園で公私の差をつけるべきではありません。
(5) そもそも、公定価格の中に障害児加算がない現状がおかしいのではないでしょうか。小規模保育等には障害児1人あたり13万円程度が加算されています。確かに2人に保育士1人配置できる額のようです。国に強く改善を求めるべきではないですか。
(6) 岡山市の認可施設における障害児の受け入れについて基本方針を示して下さい。
3.公民館のあり方について
9月に開催された「岡山市の公民館のこれからを考える」市民フォーラムにおいて東京大学の牧野篤氏の講演の中で、「複雑化する現代社会において、福祉や防災などあらゆる面で地域社会の拠点に公民館が注目されているが、公民館は住民が自治でやっている塲なので、補助金などで上から動員すると機能しない。住民が自立した住民自治が確立していれば、行政サービスの機能が低下しても地域コミュニティの自治機能は低下せず、行政サービスも届いてくる。そこには住民自らの学びが基礎となる」という趣旨の内容がありました。
人生100年時代を迎える中で、まさに地域における生涯教育、社会教育を保障することこそが本来の地域づくりにつながるということだと思います。その要となるのが「社会教育主事」という専門職であり、「学びのオーガナイザー」の必要性だと思います。
一方で当局は、この間、これからの公民館の役割は「地域課題の解決」と「人材育成」という趣旨の発言を繰り返しています。中央機能を、各地区館の総合調整とバックアップ機能とする言い方に象徴されるように、単なる連絡調整やPDCAチェック機能、市の施策や方針の周知徹底に矮小化されたように私は感じました。
例えば市の施策について「周知徹底を図っていく」と言われていますが、本来様々な角度で、時には批判的な視点においても学びたい・考えたいという市民の企画は尊重されなければなりません。中央公民館に変わる組織が、社会教育機関でなくなることで、行政職が強まり公民館の主体性が損なわれることを一番懸念しています。「人材育成」という言葉等に誤解を生まないためにも、社会教育であることの理念を明確に持ってほしいと思います。
(1) 公民館全体の基本方針策定にあたって、幅広く市民が参画出来る体制にしてほしいがどうでしょうか。
(2) 全館を統括する中央機能が市民に対して果たすべき役割をどう考えますか。
(3) 「学びのオーガナイザー」について、どのように考えていますか。
(4) 地区館に属さない講座は、西川アイプラザでも出来ると考えたらよいですか。
(5) 現在各公民館に配置されている社会教育主事を含め、キャリアアップ機能として館長職への登用制も考えるべきではないでしょうか。
(6) 公民館の嘱託職員について、仮に地方公務員法の改定により会計年度職員となった場合、賃金等にどのような影響があるのか具体的にお示し下さい。
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